宮崎が生んだ天然いりこ

粉いりこ

宮崎市赤江地区。宮崎平野を二つに割る大淀川の南側、海の近いひらけた土地が広がる。そんな赤江地区の海沿いでは水産加工業が盛んです。県内外の水産・飲食業界から高い評価を受ける「宮崎ちりめん」は、ここ赤江だけでなく宮崎全体の水産漁業者たちが互いに切磋琢磨し合って、その品質維持と向上に力を入れています。「ほんとうにおいしいものだから食べてほしい」。関わる人々はそんな思いを持って仕事をされています。そんななかで、私たちは志磨村水産の人々と出会いました。

待っているお客様を裏切れないから

私たちが取材した日はちょうど大漁日でした。工場は準備で大忙し。水揚げされたちりめんは工場内で水洗い・釜ゆででされたものを天日干しすることによって、私たちがよく知っている「ちりめんじゃこ」になります。ちりめんを高品質なものとして出荷するには、この工程をいかに鮮度を損なうことなく、すばやくこなしていくかが問われます。そのため船が漁に出ているときから準備を万全に整えておきます。

みんな真剣な面持ちですが、同時に今か今かと、水揚げされたちりめんをワクワクした表情で待ってもいました。それもそのはずで、この日は久しぶりの漁日。実は、ちりめん漁はひんぱんにできるものではないのです。天候や海の状態が良好で、ちりめんの大群が探知機にかかるという好条件がすべてそろわないと漁をすることができません。また、近年は気候変動の影響からか、ちりめんがとれないことも多く、なんと2ヶ月のあいだ漁ができない日々もありました。

たとえ漁がない日でも、工場の補修や点検に清掃など常に漁に向けて備えています。
「いつでも臨戦態勢よね。おいしいちりめんを待っているお客様を裏切れないから気は抜けないわ」と志磨村淳子さん。

そんな背景もあり、トラックいっぱいに積まれたちりめんが工場に届くとみんな興奮した様子でした。そして、待ってましたと言わんばかりに迅速に作業をこなしていきます。その連携プレーの鮮やかさときたら。

「ほらあ見て! きれいでしょ!」と新鮮なちりめんを前に笑顔。工場向かいにある直売所には、この日にしか食べられない生ちりめんや釜揚げちりめんが次々に並んでいきます。それを待ってました! とばかりに買いに来るお客様たち。「やっと獲れたよ〜。釜揚げ大きいの二つですね!」「生は刺身でもアヒージョでも絶品だよ!」そんなやりとりが聞こえてきました。

その後も途切れることなく買いに来る人々。水揚げから天日干しまでずっと作業し続ける志磨村水産の人々。「お昼ごはん食べる時間ないね〜」そんな声が悲痛ではなく喜びに感じられました。

自然の風味そのままの粉いりこ

志磨村水産ではちりめんだけはなく、いりこ商品にも力を入れています。
ちなみに「ちりめん」や「いりこ」は魚の名前というよりは一種の愛称であることをご存知でしょうか。
しらす、いりこ、ちりめん……と見た目は似ているけれど、なんとなく違いを知らないでいるものたち。実は、これらはすべてカタクチイワシやマイワシなどの稚魚のこと。稚魚を総称して「しらす」と呼ぶこともありますが、それぞれの地域によって差があるようです。

漁でかかるのは、いわゆるちりめんだけではありません。大きい魚から、しらすに分類される魚までたくさんかかります。その中の一つがいりこ。しらすの大きさによって、ちりめん商品になるのか、いりこ商品になるのかその目的が変わってきます。また、その乾燥度によって「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめん(じゃこ)」と商品名も違ってもきます。

いりこはちりめんと一緒に釜ゆでされ、一緒に天日干しにかけられます。商品になるまでの工程で添加物を加えることはありません。唯一加えるものといえば、釜ゆでのさいに使う国産の塩くらい。機械で軽く乾燥させたものをそのまま天日干しにかければ、自然の味そのままの、おいしいちりめんといりこの出来上がり。

そして、そのいりこを全身丸ごと粉末にした商品「粉いりこ」。
いりこはその栄養価の高さが注目される食材ですが、たとえばだしをとるときや、そのまま食材として用いるときに、頭やはらわたのえぐみを気にされる方も多いのではないでしょうか。しかし、粉末にすることでその悩みが解決されるだけでなく、高い栄養価や風味を維持することができます。なにより粉末なので料理に使える幅も広がります。

オーソドックスかもしれませんが、まずはお味噌汁のだしに使ってみてはいかがでしょう。日本古来の健康食と言われる味噌汁。昨今はお味噌汁が飲まれなくなったと聞きます。これを機にふだんの食生活に取り入れてみませんか。粉いりこなら具材としてのいりこが苦手な方でも気にせずいただくことができます。

「いりこ屋ではなく、ちりめん屋だから出せるいりこの味がある」と語る淳子さん。
ぜひ、その味をあなたの舌で味わってください。

有限会社 志磨村水産

住所 :
宮崎市大字田吉2180
TEL :
0985-51-3885(FAX:0985-51-3898)
営業時間 :
9:00〜17:00
日・祝定休(天候に伴う不定休あり)
Webサイト :
http://maru-si.com/