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日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2019/10/08

合言葉は「シマさん」 うどん屋女将の心意気

だし(出汁)ソムリエがいると聞いて、宮崎市江平の大盛うどんを訪ねました。
明治の終わりにはじめた創業100年を超える老舗うどん屋です。

店内では、スタッフさんが厨房へオーダーする声が聞こえます。

「きつねうどんのシマさんを一つ」

シマさん? うどん屋の業界用語でしょうか。

趣味が筋トレという四代目女将の久米さんは、うどんの要であるだしを極めたいという思いから、だしソムリエにもなり、大盛うどんに100年伝わる秘伝のつゆを守り続けています。
だしや醤油、麹に関する映画の上映会開催や小学校での味覚の授業など、だしをとおして日本の食文化を広める活動もおこなっています。

だしの原料であるいりこは、佐伯や伊吹島、島浦産のものをブレンドして使用。産地にも出向き、味をみて買い付けることもあります。
頭や内臓をとって雑味やえぐみを出さない一般的ないりこだしとは逆の方法を用いて、苦いなかにも甘みのある、なんとも言えないおいしい味に仕上げています。
天然素材は味が安定せず、海の様子や餌、時期によっても変わります。久米さんは自分の舌を信じ、だしの味を日々調整しています。

「おいしくないものを提供したくない、なんとかしておいしいものを提供したいんです」と久米さん。
だしのほかにも高原町や九州産の小麦をブレンドした麺、特注の醤油や契約農家が栽培し、店内で粉砕した唐辛子など、材料にもこだわっています。

最近では、店舗の改装やうどんの自動販売機設置、ネット販売の導入など新しい試みもおこなっています。
しかしながら、「昔の手づくりに戻したい。自分たちでつくれるものはできる限りそうしたいと思っているんです」と、創業当時の原点に近づこうともしています。「シマさん」サービスもその一つなのだとか。

ところで、シマさんとは?

創業当時の女将の名前です。
冷蔵設備も無かったころ、その日につくったうどんが余り毎日廃棄をすることに。シマさんは考え、決意しました。廃棄するぐらいならお客さんにサービスしようと。こうして、どんぶりに溢れるほどのうどんを提供し、お客さんに喜ばれていたことから、店名も「大盛うどん」と名付けました。

麺増量サービスは女将であるシマさんの心意気だったのです。
現在の女将久米さんは、その心意気をも受け継ぎ、今年の8月から麺増量サービス(無料)を復活させました。そのサービスを初代女将をしのんで「シマさん」と呼んでいます。

話をお聞きしたあとに、具入りうどんを注文しました。ちょっと照れながら、合言葉のシマさんも忘れずに。

「具入りうどんのシマさん一つ」厨房にオーダーがとおります。

こちらが天ぷらとかまぼこ入りの「具入りうどん(+シマさん)」556円(税抜)です。濃い色の甘辛いだしが麺にからみ、何杯でも食べれるおいしさです。
お隣はクコの実がのった自家製甘酒。「蔵の室(むろ)によって麹の味が全然違うんですよ」と、いくつかの麹を試し、厳選した二軒のしょうゆ蔵から取り寄せ、久米さんがブレンドしてつくっています。来店のたびに注文する人がいるほど甘くおいしい甘酒に仕上がっています。ノンアルコールでホットとアイスがあり、どちらも260円(税抜)。

店外には、閉店後に大活躍の自動販売機が設置されています。自宅でもおいしいうどんとだしが堪能できるので、うれしい限りなのですが、ぼくはやっぱり店内で注文したいです。時を超えて受け継がれた女将たちの心意気を感じたいので。

◆宮崎名物 大盛うどん
〒880-0051
宮崎市江平西1丁目5-60
TEL:0985-26-2011
店休日:毎週月曜(月曜が祝日の場合は営業)
営業時間:8:00〜15:00
Facebook:https://www.facebook.com/omoriudon/
HP:https://oomoriudon.stores.jp/

この記事を書いた人

えいさん

3年前に旅行したときに出した自分宛のハガキが先日、自宅に届いていました。郵便屋さんに見られるかと思うと、ちょっと照れますね。★★★ 地区あつめ隊のあつめる係。 イチロー選手の引退により、ぽっかり空いた心の穴を埋めるべく、夜は焼酎で酔いがまわり、昼は宮崎市内の地区をまわり、情報をあつめています。オレンジのワーゲンバスが市内を走っていたら、左ハンドルをにぎっているのは、きっとぼくなのでお気軽に手をふってください。

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