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日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2019/08/02

一石何鳥? 太陽光パネル下の栽培法

「日本のひなた」と自称するほど、快晴日数や日照率がトップクラスである宮崎県は、太陽の恵みが豊かな食を生み出しています。そのひなただけでなく、日陰までも上手に利用して栽培されている果実に先日、出会いました。

農産物直売所を見学していたときのこと、「試食してみてください」と案内があったのはピンクのブルーベリー。食すとおいしい。青くなる前の果実ではなく、熟れてピンクになった果実でした。

これは珍しい。こうなると実際に実っているところが見たくなり、いてもたってもいられなかったので、その足で栽培する株式会社サンミライさんを訪ねました。

「あの~、直売所でピンクのブルーベリーを見かけて、珍しいなと思って、ついついやってきたのですが……。サンミライさんはこちらではありませんか」

そこは、耕作放棄地を高齢者から譲り受け、太陽光パネルを設置する有限会社総設さんの事務所でした。
ブルーベリーの栽培は、太陽光パネルの下にあるスペースを何かに活用できないだろうか、と以前から考えていたそうです。3年前、ブルーベリーなら栽培できるのではないか、と熊野地区でスタートし、農場を管理するために株式会社サンミライを設立。

とはいえ、農業は専門外。県内外の大学や農業資材業者からのアドバイスを受けながら、農場づくりをおこなったとのことです。

福岡県から移住してきたという農場長の吉野さんに農場を案内していただきました。
実に不思議な光景で上を見上げると長い長い太陽光パネルが何列にも連なっています。その下にある農場は、この日の明け方までの記録的大雨に見舞われ、膝までつかったあとで、摘みとりもできないほどの後処理作業に追われていました。そんな忙しいときに大変恐縮です。

驚いたのは広さと木の数です。6000平米の敷地に20種1600本を植えています。
農場はもともとは田んぼという湿地で、地植え栽培は難しいため、ポット栽培を選択しました。
土を使用ぜずにアクアフォームというスポンジのようなものでポット栽培しています。水はけが良く、根っこがほかの木と分かれているため、病気が蔓延せず管理しやすいのも特徴です。各ポットには、ホースを設置して水や溶液を電力で流すなど、工夫して効率を良くしています。

頭上の太陽光パネルは日よけにも、雨よけにもなり、過酷な農作業を少しラクにしてくれます。また、パネルがあることで適度な日陰をつくり、木や実の成長にもプラスに働くのだそうです。それだけでなく、売電までおこなっているのだから、太陽光パネルの下でのブルーベリー栽培は一石二鳥だけにとどまらず、何鳥にもなるわけです。

直売所で目にした鮮やかなピンクのブルーベリーは、「フロリダローズ」という品種で甘みが強くジューシー。
出荷用に栽培するブルーベリーとしては結実率がよくないため、栽培している農場は珍しい品種ですが、日光が当たりすぎないこちらの環境はフロリダローズには適しているのだとか。

ブルーに熟す前のピンクでなく、熟してピンクになるフロリダローズは、今年がはじめての出荷となり、農場長は何度も何度も食べてみて、おいしい熟れ具合を確かめながら出荷しているそうです。

そのほかの品種も数多く、やはり食べてみて、これくらいがこの品種の完熟のサインか、などと収穫時期を日々研究しています。

収穫したブルーベリーのほとんどは、宮崎市中央卸売市場に出荷し、そのほかは市内のいくつかの直売所へ持ち込んでいます。
宮崎は食べ物がうまい、とくに鶏のタタキが最高、という農場長が励みにしていることは、お客様から伝わる「あんたんとこのは甘いねぇ」の声だそうです。
ぼくもいろんな品種のブルーベリーを食べ比べしてみたい。

残念ながら、今シーズンの収穫・出荷は終了です。
木が育ってくる来シーズンはさらにおいしいブルーベリーが、数多く実ることでしょう。ひなたと日陰を上手に活用したブルーベリー栽培法、来シーズンの収穫が今から待ち遠しいです。

この記事を書いた人

えいさん

3年前に旅行したときに出した自分宛のハガキが先日、自宅に届いていました。郵便屋さんに見られるかと思うと、ちょっと照れますね。★★★ 地区あつめ隊のあつめる係。 イチロー選手の引退により、ぽっかり空いた心の穴を埋めるべく、夜は焼酎で酔いがまわり、昼は宮崎市内の地区をまわり、情報をあつめています。オレンジのワーゲンバスが市内を走っていたら、左ハンドルをにぎっているのは、きっとぼくなのでお気軽に手をふってください。

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