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日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2019/03/26

森のみどりと酵母が奏でるパン屋

遠くてもついつい足を運びたくなるお店がありませんか。ぼくにとって「森の中のパン工房 Verde(ヴェルデ)」は、まさにそんなお店の一つです。

宮崎市高岡町の元気な集落、一里山地区は、緑豊かな自然と花々、澄んだ空気、鳥のさえずりが心を癒します。四季折々で姿を変え、その美しさで人々を魅了する霧島連山が一望できるのどかな場所にヴェルデはたたずんでいます。

2011年3月、東日本大震災の日からまもなくして小林市野尻町にオープンしてから6年後の2017年7月、オーナーでパン職人の川畑美鳥(みどり)さんはご実家があるこの地にヴェルデを移転しました(余談ですがVerdeとはイタリア語で「緑」の意味、豊かな自然の緑と川畑さんのお名前からきています)。

宮崎〜小林間の国道268号線から農道に入り、さらに脇の細道に逸れるなど、地元の人を除いては往来しないであろう森の中にあるパン屋でありながら、たくさんの人が訪れます。その魅力を探るべく、笑顔が素敵な川畑さんにお話を聞きました。

ー いつからパンを焼いているのですか?
「自分が食べたくて、小学生のころからオーブントースターで焼き菓子を焼いていました。パンは結婚してから焼きはじめました。子どものおやつに手づくりしたり」

ー 無添加無農薬にこだわるのはなぜですか?
「小さなころから食べることが好きで、外食とかすると舌に膜がはるんですよ。これってなんだろう? いちごを食べるとピリピリと舌にくる。これってなんだろう? って思ってました。でも食べ物ってそんなものなんだろうと子どもごころに思っていたのですが、大人になって情報が入るようになり、それが農薬や添加物によるものだと分かったんです。それなら食べ物はやっぱり手づくりして安全なものにしなきゃと」

ー ずいぶん大変だったのでは?
「少しずつです。麺類やカレーブレンド、ダシもイチからつくったりして、少しづつ変えていきました。日々のおやつも手づくりして。子どもたちが部活で市販の弁当を食べておいしくないと言いました。私も食べるとやっぱりそう思いました。自分のしていたことが間違えではなかったと気づいて、そこからより頑張りました。」

ー それでパンづくりにも安全なものを?
「添加物に慣れてしまうと素材の味が分からなくなります。自然の酵母と小麦、酵母、塩だけでおいしいパンがつくれる。それをみなさんに知ってもらいたいんです。バケットは何もつけなくても小麦の味がしっかりでます。パンってこんな味もするんだって気づいてもらいたいです」
(食べてみるとたしかに余計な味はせず、素材そのものの旨味、パンのおいしさ、やさしさを感じました)

ー 素材にもこだわっているのですね?
「ハーブ系のものは自家栽培です。野菜、有精卵、バター、小麦、玄米など、地元農家さんに直接仕入れにおこなっています。つくっている人の顔が見えるからやっぱり安心です。新しい素材はお客さんや生産者の方が情報を持ってきてくれるので、探さなくても自然と素材があつまってきます」

ー 天然酵母も自家製なのだとか?
「はい、こちらです(発酵をはじめて6日目の酵母の入った瓶を見せてくれました。霧島山のふもとで毎週汲んでいる天然水とオーガニックの干しぶどうでつくっています。季節にもよりますが、天然酵母をおこしてからパンを焼くまで10日ほどかかっています」

ー 天然酵母づくりは最初からうまくできたのですか?
「本などで調べて独学だったのですが、うまくいきませんでした。この酵母が良いのか悪いのかの判断ができませんでした。都城市のパン屋に2年間、月に2回通ってつくり方を習いました。今は失敗しないでつくれるようになりました。」

ー パンづくりで好きな工程は?
「パンの成形も好きですが、発酵後にふくらんだところを見ることや手ざわり感、元気に出来上がったときが一番うれしいです。頑張ったねって思います」

ー パンや野菜、花など「つくる」ことが好きとのことですが、影響を受けた人はいますか?
「植木生産をやっている両親でしょうか、父は小屋も自分でつくったり。専業主婦だった自分が最初は外に出るのが当時は怖かった。こんな世界があるのを知らなくて、出会いがあって、人ってすごいなぁと思うようになりました。今は子どもたちが私の影響を受けてくれているのもうれしいです。子どもたちには苦手なことに挑戦してほしいです。違った世界が見えたり、経験できたり、失敗しても得るものはたくさんあります」

ー 森の中にあるのにお客さんが来られますね?
「どこかに行くついでに来られる方もいますが、わざわざ買いに来てくれる方も多いです。食べた人がおいしかったとわざわざ電話くれたり、同じ日にまたきて、おいしかったからと、また買って帰るんですよ、それがうれしいです。どこかにパンを卸すのと違って店舗やイベントではお客様と直接会話ができるのでありがたいです」

ー これからの夢は?
「天然酵母の良さを知ってほしくて、パン教室を今年の5月からはじめようと準備しています。体験からはじめてコースまで。酵母パンは短時間でできるパンづくりではないので、生徒さんといっしょにつくっていくイメージです。あとはパンの本が出したいです。パンづくりのほか、素材の良いところも伝えます。食べる分を素材だけで手づくりしていく、体に余計なものはいらないんです。きちんと体の声を聞いてください、と伝えたいです」
(ぎくっ! はい、すみません)

美鳥(みどり)というお名前のように素敵で人生を楽しんでいる川畑さん、ご協力ありがとうございました。
天気の良い日には、お店のテラスに座って風景を楽しみながら、その季節にしか味わえないパンをのんびりとかじるのも幸せなひとときとなりそうです、森の中のパン工房ヴェルデ おすすめです。
さぁ、安心安全なパンをいいことにたくさん食べるで〜。

◆森の中のパン工房Verde(ヴェルデ)
住所:宮崎市高岡町浦之名4928
TEL:090-5938-7760
営業時間:10:00〜17:00
店休日:月・火・第3、4日曜日

この記事を書いた人

えいさん

3年前に旅行したときに出した自分宛のハガキが先日、自宅に届いていました。郵便屋さんに見られるかと思うと、ちょっと照れますね。★★★ 地区あつめ隊のあつめる係。 イチロー選手の引退により、ぽっかり空いた心の穴を埋めるべく、夜は焼酎で酔いがまわり、昼は宮崎市内の地区をまわり、情報をあつめています。オレンジのワーゲンバスが市内を走っていたら、左ハンドルをにぎっているのは、きっとぼくなのでお気軽に手をふってください。

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