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日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2018/11/30

ひなたの郷の冬支度

高岡町に拠点を置く萼工房(がくこうぼう)。
ご主人の金一さんは陶芸を、奥様のまりさんは宮崎産全粒粉と岩手産南部小麦を使ってパンや焼き菓子をつくっています。

この日、まりさんがシュトレンの仕込みをされるとの情報をキャッチした地区あつめ隊。
シュトレンといえばクリスマスの時期につくられる焼き菓子。国内でもメジャーになってきましたね。このシュトレン、一般的には小麦粉でつくられるのですが、まりさんは全粒粉で。しかも、宮崎産のもの100%でつくっていらっしゃるのです。
き、気になりすぎる……!

山道を迷いながらやっとこたどりついた萼工房。まりさんが手を振って迎えてくれました。
お邪魔しま〜す! と作業場にあがらせていただくと、いきなり気になるものだらけ! 壁一面の絵画やポスターなど作品の数々、オリジナリティあふれる手製の食器たち。エトセトラ、エトセトラ。

「コーヒーでもいかが?」と金一さん、壁付けのコーヒーミルでゴリゴリと豆を挽きます。童話の世界かね、ここは。思わずそんなことを思ってしまうほど、それはそれはメルヘンな光景で。
そちらに気をとられているあいだにも、まりさんのほうではシュトレンの準備が粛々とすすめられておりました。

生地に練りこまれるラム酒漬けドライフルーツは、オーガニックレーズンや甘夏、金柑、干し柿……さまざまで、粉に対して140%以上も入っているそう。それもその年の夏から仕込まれる、まりさんお手製のものです。
生地や酵母にいたるまで、可能な限り国産のものを使うというこだわりと丁寧に積み重ねてきた工程を経て出来上がっています。

ところで、まりさんが使用している宮崎産全粒粉、なんとお馴染み井野農園さんの小麦でした。井野じるしはQラボの太鼓判です。
お馴染みといえばもう一つ。南部小麦の産地岩手県、なにを隠そう私ことささきの故郷なのです。この宮崎と岩手のコラボレーション、シンパシーを感じずにはいられませんでした。

話が逸れたところでいよいよ成形作業です。
あれ? 生地が2種類? なんでも、焼くときに外側のフルーツが焦げてしまわないよう、具入りの生地を具のない生地でくるんでしまうんですって。このさまがまた可愛らしい!赤ちゃんにおくるみを着せるように優しくまあるく巻いていきます。
生地をすべてくるんだら、余熱したアツアツのオーブンの中へ。完成が楽しみです。

シュトレンの焼きあがりを待つあいだ、まりさんにお話をうかがうことができました。
なかでも印象深い言葉は「油絵の工程をパンづくりでもおこなっている」というもの。
まりさんは過去に油絵をされていたそう。イメージをだんだんと形にしていく工程は、油絵のそれと似ているとのこと。南部小麦との出会い、シュトレンを全粒粉でつくるスタイルも、まりさんの思い描いたイメージに近づけるため年々改良を重ねてできたものなのです。

キャンバスが変わっても、イメージを形にする過程の探究心は変わっていないんですね。
ふわりと優しい笑顔のうちには、ストイックなアーティストの心が燃えていました。

ところで、萼工房の「萼」の字。気になりますよね。
その由来をおうかがいしたところ、

「ヒトがよこを向いて笑っているように見えません?」

ご主人の金一さんがつけた名前だそうですが、「特に意味はないんですよ」と笑っていました。
もう!! なんて可愛らしいご夫婦なんだ!!

この記事を書いた人

ささき しをた

かつて伝説の落書き小僧だったイーハトーヴの異端児。高校生によく間違われる、塩田を名乗る佐々木のひと。しかしてその実体は…!?宮崎土産のレパートリー募集中。岩手土産は『か●めの玉子』でキメ!

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