Days
日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2018/01/31

幻想的な風景から生まれるブレンド茶

宮崎はお茶の生産もさかん。
そんな話を耳にして宮崎市高岡町一里山(いちりやま)地区を訪ねました。

お茶畑が見てみたい!
それまで、私は茶畑を実際に見たことがありませんでした。私の抱く茶畑のイメージは、階段状に茶葉のならぶ段々畑。テレビで見た整然とならぶ段々畑を思い浮かべながら、その景色が見たい一心で向かいました。
車から見える景色が瞬時に変わりあっという間に茶畑に囲まれると、目に飛び込んでくるのは段々畑ではなく平面に広がる緑の世界。その広大なスケールと鮮やかな茶葉、点々と立つ防霜ファンの不定期なリズムでゆっくりと回る様子が、私にはとても幻想的に感じられました。

あたり一面お茶畑の一里山地区ですが、もともとは県外各地から移住した方々が開拓したことにはじまります。現在、茶農家さんは9軒と1組合。訪問させていただいたのは提石(さげいし)製茶さん。ご夫婦で緑茶や紅茶、烏龍茶の生産をおこなっています。茶樹の種類は7種類あり、すべて有機栽培で育てています。ずっと眺めていたくなる整然と広がる茶畑を目の前に、お話をうかがうことができました。

提石さんがお茶づくりを始めたのは16年ほど前から。会社勤めから地元に戻り、先代の手伝いをしながらそろそろ代交代、と思っていた矢先に先代が急逝。機械のスイッチやら、なにもかも分からない状況でした。そこで普及センターの方や地元の先輩方に指導をあおぎ、一から勉強し直すことに。

「指導中殴られたのは僕くらいだと思います(笑)」
と、提石さん。約1ヶ月つきっきりの指導のなかで、自問自答を繰り返す日々が想像できます。それから16年、今ではJAの若手茶農家さんが集まる勉強会の会長を務めるほどになりました。

提石製茶では一番茶の品質を良くするため、二番茶までの摘みとりにしています。そのあと有機肥料など施肥しながら茶園管理をすることにより、おいしい一番茶ができるのです。3〜4月の温度管理は重要な作業。暖かい宮崎とはいえ、霜を懸念し毎夜防霜管理をおこなっています。また、良い品質を保つため、機械のメンテナンスや清掃も欠かせません。たとえ同じお茶の葉だとしても、残っていれば異物になってしまうからです。
「本当に疲れているときに今日は掃除いいか、としたくなるときもあるんです。でも結局絶対やる。もう癖になってますね」
工場にならぶ大型の機械は数え切れないほど! こう語る提石さんに頭が下がります。

「今の若い人は急須を持ってないし、お茶と言えばペットボトルって人が多いでしょ?」
と若者のお茶離れを危惧する提石さん。卸先のお茶屋さんと一緒にお茶の魅力を伝える「茶育」にも取りくんでいます。
参加者を一里山に招いてお茶揉みなどの工程を楽しんでもらい、その後自分でつくったお茶を淹れていただく、という体験を通してお茶への関心を高めたり、「米麹×紅茶」「ミント×緑茶」といった若い世代の方にも入りやすいブレンド茶を次々に生みだしています。

「じゃんじゃん飲んでください!」
夏の猛暑日だったこの日も、完成したばかりの冷たいミントティーを何度も勧めてくださいました。

お話を聞けば聞くほど、まだまだ新しいチャレンジを考えている様子。
「常に新しいことを考えているんですね!」と言う私に、満面の笑みで「いや、まだまだですよ」と話す提石さん。
次はどんなお茶を楽しむことができるのか、この場所、そして提石製茶から生まれるお茶の世界にどんどん惹きこまれていきそうです。

この記事を書いた人

地区あつめ隊

記事一覧