Days
日々の地区あつめ

われら地区あつめ隊の、めくるめく採集記

2018/01/29

城下町の歴史 「ますや」佐土原人形の魅力

ほほに触れる風がここちよい日。
佐土原人形の製作・販売をしている「ますや」にお邪魔させていただきました。

以前より、佐土原歴史資料館や城の駅(佐土原の道の駅)などで見かけることのあった佐土原人形。かわいらしい表情の魅力はもちろん、佐土原の歴史とも深い関わりのある人形です。郷土人形の味わいと魅力は宮崎の魅力だと感じ、その製作工房を訪ねました。

佐土原城の城下町、宮崎市佐土原町上田島。
佐土原小学校の目の前に「佐土原人形 ますや」はあります。
全盛期には窯元が14軒ありましたが、今では「ますや」をふくめ2軒のみ。「ますや」は初代坂本作左衛門から現在の六代目阪本兼次さん、由美子さんご夫婦まで約160年のときを重ねてきた歴史ある工房です。

その起源は古く約400年前、佐土原に住んでいた高麗人に土人形のつくり方を教えてもらったのがはじまりと言われています。

佐土原人形のなかでも有名なのは、京都の伏見人形の影響を受けたとされている「饅頭食い(まんじゅうくい)」です。かしこい幼児が「お父さんとお母さんのどちらが好き?」と問われ、手に持っていた饅頭を二つに割り「割れた饅頭のどちらが好き?」と聞きかえした、おませなエピソードからできたのがこの人形。自分自身が両親半分ずつからできてるって、日ごろ、わざわざ意識したりはしないのですが、ちょっとだけ思いをはせたりして。見た目のかわいらしさだけではない饅頭食いのストーリーに心がくすぐられます。

佐土原人形の種類として、大きく分けて歌舞伎人形、節句人形、縁起人形、風俗人形などがあります。
佐土原には江戸時代に歌舞伎小屋がありました。その演目のワンシーンを人形で再現したのが歌舞伎人形です。
歌舞伎役者の袴(はかま)のうねりが躍動的で、今にも動きだしそうです。

桃の節句や端午の節句を祝う節句人形、恵比寿さんや干支をモチーフにした縁起人形、戦士や大正の女学生の人形など身近な存在をモチーフにした風俗人形。動物をモチーフにした人形も多く、なかにはクジラにまたがって大海をのりきって欲しいと願いを込めて作られた「鯨乗り」などもあります。
どれも佐土原の人びとの生活や歴史を感じさせる、味わいある人形たちです。

今回は店頭だけではなく作業場も見学させていただきました。
かつては「手押し型」という型に土を押しあてる手法で作成されていましたが、現在は型に流しこむ「鋳込み(いこみ)」の手法も用いられています。型を使った製作手法なので、人形の中が空洞になっています。

「ますや」の佐土原人形は色付けがとても丁寧なのが特徴といえます。制作者である阪本ご夫婦の仕事ぶりは本当に丁寧で、色付けの工程で流れる静かで凛とした空気に、職人としての誇りとこだわりを感じました。

一体一体手描きだからこそ、表情の異なる佐土原人形。人形を手にとり眺めるその表情には優しさも感じられ、優しく愛らしい表情の人形が多いのはご夫婦の人柄が表われているのだなと思いました。

私は実家で犬を飼っていたこともあり犬が大好きです。
しかも今年は戌年!
さっそく家に飾る人形を選びました。

佐土原の歴史と共にある佐土原人形。
「ますや」は惜しくも、2018年3月に製作は終了。
以降は在庫のみの販売、9月末日をもって閉店となります。
(追記:2018年10月より、6代目阪本兼次さんから7代目下西美和さんへ代がわりしました。また、2019年4月3日には宮崎県事業引継ぎ支援センターによる事業継承式が執りおこなわれました)

現在は、佐土原人形を未来に伝えるべく、若い方々の活動も精力的です。人形製作を引きついでくれる次の世代の方もいらっしゃいます。

人はなぜ、人形に魅力を感じるのでしょうか? 「ますや」での製作風景を拝見したことでその答えが少しだけわかった気がします。

城下町佐土原の歴史に思いをはせながら、佐土原人形を飾ってみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

おつう

陸の孤島と呼ばれる宮崎で毎日愉快に暮らしています。 すきな食べ物は塩気のあるもの(アンチョビ、塩辛、鮭とば、生ハム)などなど。 日々、地区あつめに奮闘中!

記事一覧